ロシア人にボールペンを売った男

ロシア人にボールペンを売った話 by遠藤諭遠藤諭 
f:id:also333tan:20150415213616j:plain
●ゆうこば遠藤諭による『神は雲の中にあられる』が好評連載中です。
この連載の中で、とくに週アスPLUSの読者の皆様にご覧いただきたい記事を不定期に転載いたします。 
その1通のメールがロシアから届いたのは、ちょうどソチ五輪の開催期間中の昨年の2月10日だった。
送り主は、オリガ・ユルチェンコという名前の女性で、“Good Day!”という軽いノリの一言から始まる英語の文面が書いてある。
そのときから約9ヵ月間にわたり私と彼女の100往復以上のメールのやりとりが始まったのだった。
こう書くとなんとなく『バースデイ・ガール』(私が一番好きな“インターネット”のことを扱った映画)っぽい出だしだが、私の場合はそんなことはなくてロシア人とはウォッカを飲まなくても商売ができるというお話である。 
'10年に、私はシマシマアニメのボールペン“アニメーション・フローティングペン"というのをつくった。
黒と透明のスリットの下に重ねて特殊なイラストを滑らせるとアニメーションが見られる。
こいつを“フローティングペン”(傾けると液体の中の小さな板が移動するお土産ペン)の中に入れちゃうことで、ペンの中で人物が“歩く"ものと“泳ぐ"ものの2バージョンをつくった。
個人的なプロジェクトなのだが、本誌や週アスPLUSでも当時紹介してもらったのでご記憶の方もおられるでしょう。 
あまり売るつもりもなかったのだが、最小ロットが決められているのでまとめてつくって人づてに何店か置いていただいた。丸善本店、文房堂ビームス東京都写真美術館東京都美術館日本科学未来館などのミュージアムショップ、銀座のボールペン専門店の五十音など(現在、Amazon.co.jp以外は品切れのところがあります)。
しかし、海外の反応はちょっと違っていた。